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新・日本の階級社会
 橋本健二著「新・日本の階級社会」を読んだ。本書は、日本が「格差社会」のレベルを超えて「新しい階級社会」に入り、貧困率が上昇して膨大な貧困層が形成され、社会が分断されている実態を、各種統計や社会調査データを通じて明らかにしたものである。そして、格差を縮小しより平等な「非階級社会」を実現する方策を提示している。

1970年代後半から2005年の直前まで常識だった「一億総中流」意識は、格差が拡大するとともに「人並より上」と「人並より下」に分解し、階層帰属意識や満足度が生活実態と正確に対応するようになった。そして政党支持も所得水準との対応関係を深めてきた。自民党は所得水準が高く、格差拡大を肯定・容認する人々から支持を集めている。つまり自民党は、支持基盤が特権階級や富裕層に特化した「階級政党」になった。最近貧困層が格差拡大にあまり反対しなくなったのは、「自己責任論」の広がりと深く関連している。

現代日本の階級構成としては、資本家階級、新中間階級、労働者階級、旧中間階級があるが、問題は労働者階級内部で正規労働者と非正規労働者が異質性を増し、二つに分裂し始めていることである。非正規労働者は雇用が不安定で賃金も正規労働者には遠く及ばない「階級以下」の「アンダークラス」と呼ぶのがふさわしい。従って階級は資本家階級、新中間階級、正規労働者、アンダークラス、旧中間階級の五階級になる。

格差が拡大し貧困層が増えている現実を実感し問題視しているのはアンダークラスで、次いでパート主婦である。資本家階級は貧困層が増えている現実を認めず、格差が大きすぎるとも考えない。新中間層は貧困層の増大は認めるが、格差が大きすぎるとは考えず容認する。正規労働者と旧中間層は中間的である。

自己責任論を最も強く支持するのは資本家階級で、次いで旧中間階級である。新中間階級と正規労働者はある程度自己責任論を受け入れている。アンダークラスは自己責任論を受け入れる傾向が弱いが、自己責任論に否定的なのはパート主婦である。
所得再配分については、アンダークラスが最も強く支持し、次いでパート主婦と旧中間階級である。資本家階級・新中間階級・正規労働者は余り支持しない。

「排外主義」「軍備重視」を支持する人々は、格差拡大の事実を認めず所得再配分に反対する傾向が強い。自民党支持者は、排外主義的で軍備重視の傾向が強い。他党及び無党派のあいだには大きな差はなく、自民党支持者の異質性が際立っている。

格差拡大はアンダークラスを中心とする膨大な数の貧困層を生み出し、社会的コストを増大させ、格差の固定化からさらに多くの社会的損失が生まれるという様々な弊害を生み出す。格差縮小の方法は、(1)賃金格差の縮小、(2)所得の再配分、(3)所得格差を生む原因の解消の三つに大別できる。

(1)賃金格差の縮小には均等待遇の実現、最低賃金の引上げ、労働時間短縮とワークシェアリングがある。(2)所得の再配分には累進課税の強化、資産税の導入、生活保護制度の実効性の確保、ベージックインカムがある。(3)所得格差を生む原因の解消には相続税率の引き上げ、教育機会の平等の確保がある。

格差社会の克服を一致点とする政党や政治勢力の連合体が形成されるなら、その支持基盤となりうる階級・グループはすでに存在している。それはアンダークラス、パート主婦、専業主婦、旧中間階級、そして新中間階級と正規労働者のなかのリベラル派である。これらの一見多様で雑多な人々を、格差社会の克服という一点で結集する政治勢力こそが求められる。その可能性の一端は、2017年10月の衆議院選挙での立憲民主党の躍進にあらわれた。自民党は排外主義と軍備重視に凝り固まった特殊な人々しか強固な支持基盤になっておらず、一強体制に安住することで支持基盤を自ら脆弱化している。
[2018/05/28 22:17] | 読書 | トラックバック(0) | コメント(0)
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