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「日米指揮権密約」の研究
 末浪靖司著「日米指揮権密約」の研究を読んだ。本書は、機密指定を解除されたアメリカ政府や軍部の公文書に基づき、1952年に吉田首相とクラーク極東米軍司令官が最終的に口頭で結んだ指揮権密約(=戦時に自衛隊は米軍の指揮下に入る)を実現するため、1951年の平和条約と旧安保条約の調印以来、日本政府が戦後60年余をかけてアメリカ政府と密室の協議を重ね、憲法解釈を変えて、自衛隊を海外に送り出す法律をつくり、ついに、2015年に「戦争法」を強行採決するに至った歴史を検証したものです。

アメリカ政府、特に米軍は平和条約調印以後も占領時と同等の体制を維持し、日本の軍事力を養成した上でこれを支配下に置き、世界戦略を展開する上で利用したいという強い欲求を元来持っており、1950年の朝鮮戦争での米軍支援のための警察予備隊から保安隊、自衛隊へと拡大させる中で、日米安保条約、地位協定、相互防衛援助協定や各種密約に基づき、その欲求を実現するために米軍のための密室の協議機関である日米合同委員会や日米安保協議委員会、日米防衛協力小委員会、基地の共同使用、共同軍事演習、ガイドラインなど様々なシステム構築を進めてきた。

ソ連崩壊で安保条約も日米軍事協力も理由がなくなったあと、米国防総省はそれらにかえて、「地球的規模での役割」や「軍と軍の結合」を強調するようになり、指揮権密約を実行するための「仕掛け」を進化させた。
2015年4月にニューヨークで開かれた日米安保協議委員会で合意された「第三次ガイドライン」の内容を実行できるようにするために同年9月、安倍政権は安保関連法案を国会で強行採決した。

第三次ガイドラインの目的は、「平時から緊急時までのいかなる状況においても日本の平和及び安全を確保するため、また、アジア太平洋地域及びこれを超えた地域が安定し、平和で安定したものになる」そのために日米が防衛協力することである。つまり、地球的規模に米軍と自衛隊が軍事協力するための指針だということだ。

指揮権密約を実行する上で最も重要な機能をはたす「同盟調整メカニズム」がある。ガイドラインが日米の戦争マニュアルとすれば、こちらは日本を平時から臨戦態勢に組み込む日米の戦争司令部である。さらに日米政府が共同で計画を策定する「共同計画策定メカニズム」があり、「同盟調整メカニズム」とともに、自衛隊が在日米軍の上部機関である太平洋軍司令部の指揮下に入ることを保証するものである。

自衛隊と米軍は、安保関連法が成立する前の第三次ガイドラインができた直後から、それを実行するための「統合実践訓練」をはじめ、激しい共同訓練を繰り返している。日本各地の基地で日米両軍の司令部機能の一体化が進められている。
辺野古の新基地建設の目的は、普天間基地の移設などではなく、共同訓練した米軍と自衛隊の兵士たちを、オスプレイとともに強襲揚陸艦に積んで、世界中の戦場に送るために必要な基地を確保することである。

米国防総省の2014年国防計画によれば、サハラ以南の中部アフリカ地域での特殊作戦を重視し、アメリカの軍事顧問団が現地軍を動かしたり、無人機などで武装勢力を攻撃するための情報・拠点基地を各国に作っている。
2014年に河野統幕長は米国防総省で、アフリカを含む各地域の米軍司令部と自衛隊の連携強化を約束しており、将来、自衛隊を中東と北アフリカに派遣して、各米軍司令部の指揮下に入る意思を示した。

アメリカは今後、必ず「対テロ戦争」や武装勢力との戦争に、自衛隊の参加を求めてくるはずである。それを止めるのは、私たちの世論しかない。

本書を読めば、戦後70年日本の安全保障政策は、すべてアメリカ政府特に米軍の思うがままに操られ、歴代の日本政府はただひたすらにアメリカの意向に沿って条約や密約を締結し、それに対応するよう国内法を整備することで、国民の安全よりも己の政権維持を優先してきたただけの米国隷従の傀儡政権だったことがよくわかる。
[2017/11/21 14:14] | 読書 | トラックバック(0) | コメント(0)
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