「共謀罪」反対集会に600人 
 「共謀罪」の趣旨を盛りこんだ 組織的犯罪処罰法改正案に反対する集会が18日夜、都内で開かれた。日本弁護士連合会(日弁連)が主催した。衆院法務委員会での採決が19日にも予想されるなか、危機感を抱いた学者や弁護士、映画監督らが次々と声を上げた。

 日弁連はこれまで「監視社会化を招き、市民の人権や自由を広く侵害するおそれが強い」とする会長声明を出すなど、法案に反対してきた。集会には約600人が出席。会場は満席となり、外のモニターで視聴する人もいた。

 首都大学東京の木村草太教授(憲法)は「思想良心の自由」など憲法の条文にふれながら、「頭では何を考えてもいいと保障されている。単に(犯罪計画の)下見に行っただけで罰するのは、刑罰の謙抑性からも好ましくない。違憲の疑いもある」と批判した。安倍晋三首相の説明を逆手に、「この法案のひどさを国民にご理解頂かないと、東京五輪は開けないと言っても過言ではない」と皮肉った。

 冤罪をテーマにした映画「それでもボクはやってない」の監督の周防正行さんは「捜査手法として密告に頼ることなどが考えられ、必ず冤罪が増える」と訴えた。自民、公明、日本維新の会は、取り調べの可視化(録音・録画)を盛りこむ修正案に合意したが、「逮捕前の取り調べの可視化が無い限り、何の意味もない」と批判。法案をつくる理由がないと強調し、「自分だけでなく家族、友人が、共謀罪がある社会に生きていくことになる危険、怖さ、不自由さを想像して」と呼びかけた。

 専修大学の山田健太教授(言論法)は、表現の自由の観点から分析。「共謀罪は極めて広範に、怪しい人を拘束する法律。政府が話してほしくない人を世の中から消してしまうことができる。『言葉』を理由に人の自由を奪う法律だ」と指摘し、「プライバシーを切り売りして社会の平穏を手に入れる傾向が進んでいるが、どこかで線を引かないといけない」と訴えた。

 元仙台地裁所長の泉山禎治弁護士は、裁判所での経験から法案を危険視。「『裁判所がチェックするから大丈夫』という声があるが、通常逮捕令状が却下される確率は0・04%。被疑者の弁解は聞かず、ほとんど警察の資料で決める。令状が請求されれば、ほぼ100%出す」と説明した。
 その上で、「曖昧模糊(あいまいもこ)とした共謀罪の条文は、主観の入ったものになる。(罰せられる行為をあらかじめ明示する)罪刑法定主義が刑法の大原則。今の政治家はこの基本原理をわきまえないで共謀罪の議論をしている」と批判した。

 法政大の山口二郎教授(政治学)は「東京五輪を開くために共謀罪が必要とかテロ対策に必要だというのは、とってつけた口実。本当の狙いは警察に大きな権限を与えることだ」と話した。そして、「沖縄の基地反対運動や原発に反対する市民を弾圧するめちゃくちゃが今でもまかり通っている。共謀罪という大きな武器を与えた時に何が起きるか」と訴えた。

 会場に来た埼玉県の穂積愛子さん(67)は「権力に対して声を上げることが今よりもっと難しくなる」と危惧する。数年前から参加している反原発デモでは、警察官がカメラを向けてくるという。「法案ができれば警察はもっと情報を集めるようになり、デモの参加者もどんどん萎縮する」

 千葉県の図書館司書の女性(47)は「何が犯罪になるかよく分からない。運用次第で対象が広がる」と感じている。趣味で子ども向けの小説を書いたこともあるが、共謀罪で表現の幅が狭まっていくことを危惧する。「デモに行く勇気はないけど、勉強して何かできることは無いか探したい」

 川崎市の大学4年生、宇佐美春那さん(21)はゼミの中で、再審無罪が確定した「布川事件」の桜井昌司さんから話を聞いた。「普通の人が無理やり自白させられることで罪がでっち上げられる怖さを感じた。共謀罪ができたら、さらに冤罪を生むのではないか」と不安に思う。「一般人は対象にならない」という政府の説明については、「海外では普通に見える人たちがテロを起こしているのだから区別はできない」と指摘した。
[2017/05/19 10:08] | 政治動向 | トラックバック(0) | コメント(0)
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